初音ミクの何が好きなん?

こう聞かれたとき、私はかなり悩みました。なぜなら、私の中で明確に解を持っていなかったから。

その場では仮で回答できたものの、明瞭な回答ではなかったと思います。また、10年後も同じように好きだといえるか、同じ理由があって好きと言えるのかは変わってくるかもしれません

故に、現時点での解を自分なりにまとめておくことにしました。

ざっくりした回答

ありふれた回答ですが、私は初音ミクの「文化」が好きなんだと思っています。

初音ミクに与えられた要素は年齢:16歳身長:158cm体重:42kg イメージカラーはブルーグリーン 得意なジャンルはアイドルポップス/ダンス系ポップス 得意なテンポは70~150BPM 得意なはA3~E5 VOCALOID2エンジンを搭載したポップでキュートなバーチャル・アイドル歌手という設定・ソフトウェアと、数枚のイラストのみ。

極端に言えば、これだけ。何故かチンチクリンな姿でネギを振っていたわがままボディになったりしているのは、すべて後付け設定、二次創作(ダヨーさんは諸説?)です。

また、他の一般的なコンテンツと違い、初音ミクはあくまで「音楽ソフトウェア」です。それを用いて制作された楽曲はもちろんのこと、イラスト・動画・グッズその他ありとあらゆるものは基本的にUGC(ユーザー生成コンテンツ)です。これほどまでにユーザーがコンテンツを生み出し、自給自足を地で行くコンテンツは類を見ず、他の追随を許さないといっても過言ではありません。

もう 私は流行りとかじゃないので

詳細回答

有象無象の創作者たちが、それぞれが思い思いの作品を作り、共有し、お互いに影響を及ぼしながら、一つの大きな流れになる。
初音ミクとしての設定はあるものの、ありとあらゆる姿・形の初音ミクが許容され、また立体作品や大喜利工作でさえ、そこに愛とリスペクトと情熱があれば受け入れられる。
これ即ち、Everyone ”Creator” 初音ミクの世界の大原則だと思います。
(まあ、私のような人間がクリエイターを自称するのは誇大表現もいいところだと思いますが……)

こういうことを書くと燃えるんですが、近年流入してきたプロセカ(プロジェクトセカイ)の民たちとはこの認識がズレていると感じます。(もっとも、近年は認識のすり合わせが出来ているようですが…)

TBS事件の件といい、初音ミクというコンテンツは自分たちが大事に守り、育てていかねばならない儚いものであるという空気感。
コンテンツの最前線はニコニコ動画の一極集中、カテゴリランキングはさながら神々の争い。最盛期の有名Pたちが群雄割拠する時代。それらに憧れ、影響された次世代たちが矢継ぎ早に参戦し、初音ミクという文化が目の前で形成されていた混沌の時代を己の目で見た世代とは対象的に、近年の社会的ポジションを確立した初音ミクと、スマホゲームの公式から画一化されたコンテンツが供給されるような一般コンテンツにまでのし上がった後の世代とでは認識が違うのは仕方ないことです。

プロセカアンチではないですが、プロセカ以前・以後では初音ミクを取り巻く情勢が大きく変化してきています。サービス開始当初がコロナ禍であったことも一因ではあるものの、2020年はある種の分水嶺となっていることは間違いないでしょう。

さて、話が逸れましたが…私がこの文化を好きな根底には、私の出自に依るところも大きいでしょう。

私はニコニコ技術部畑の出自です。(法改正の影響でほとんどの動画を非公開にする措置を取らせていただきましたが…)

おもひで


ニコ技は大昔からニコ技MTGやNT〇〇といった作品の展示会を行ってきました。「ないものは作る」「楽しいも作る」「作ったものを共有する」という文化がここにも脈々と受け継がれています。

ニコニコ技術部と言えば「ネギ振り」があります。

様々な方法ではちゅねミクにネギを振らせるというニコニコ技術部の一大コンテンツ(?)ですが、これの興りもまさに初音ミクを取り巻くUGC文化と深く関わりがあり、ここから現在まで続くニコニコ技術部の原点と言っても過言ではありません

そもそも、ネギ振りというコンテンツの興りが、まさに初音ミクを取り巻く文化の真骨頂と言えます。

時に2007年、メルトショックに沸くニコニコの中で、なんとかして初音ミクのブームに乗ろうとした。そんな中で編み出されたものが「ネギ振り装置」なんです

俺たちは音楽も作れないし、絵も描けない。でもはちゅねにネギを振らせることはできる!

そうして幾多のバカたちが、ガチの技術競争へ発展したり、あるいは大喜利工作で笑いを取りに行ったり…まさに現代まで脈々と受け継がれている文化の原点がここにあるといっても過言ではないと思います。

そしてニコニコ技術部を語るうえで無視できないのが…「あの楽器」。kazuP さんによる楽曲「innocence」に合わせて制作された3DMVに登場する、YAMAHA KX3が元ネタと言われているショルダーキーボード(?)のようなものです。

ニコニコ技術部では「あの楽器」を再現するムーブメントが沸き起こりました。
それも「あの楽器」を作って! という一本の動画から始まったものでした。
最終的には日本各地で「あの楽器」ミーティングが発足することにもなり、まさにUGC文化の真骨頂と言えるでしょう。

あの楽器 – ニコ百 https://dic.nicovideo.jp/id/799137 #nicopedia

振り返ってみると、ネギ振りを始めとしたニコニコ技術部というコンテンツはまさに「純粋なユーザー生成コンテンツ」ともいうべきカテゴリかもしれません。初音ミクをとりまく創作文化の自由性の一端がよく現れていると思います。

このような文化の中で育ったのが私なわけですので、クソガキのころから慣れ親しんだ初音ミクの文化が好きになるというのは、ある意味原点回帰として自然な流れともいえるでしょう

時は変わって2018年。私がマジカルミライに参加したのは2018年からという話は以前語った通りですが、ここで初音ミクのUGC文化の本場(マジカルの「カル」の部分)を知ったわけです。まあそりゃあハマるわけですよね。

まとめ

「創作の連鎖」や「創作のハブ」などの言葉で表現されるように、ありとあらゆる創作活動を受け入れる懐の深さこそが初音ミクを初音ミクたらしめていると思います。

どんな手段でもいい。音楽や絵や3DCGやコスプレはもちろんのこと、ネギ振り装置、アート、車、パンツ、酒、目薬、折り紙、レザークラフトから殺虫剤に至るまで、ありとあらゆる手段で初音ミクを表現してもいい。誰でも初音ミク文化の創作者になることが許されているこの文化が大好きです。

キミは キミの やり方でいいのだ! 

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