S100系アトレーは、軽ワゴン車というカテゴリで初めてワイヤレスキーリモコンを搭載した車である。
年代的には、L200ミラとかと同じになるはず。アクチュエーターの種類的が同じ、かつ同じような症状に悩まされている場合、同様に修理が可能と思われる。
症状
集中ドアロック→手動で鍵を回せば動作する。たまに後席ドアが開かない。
リモコンでの開閉操作→動くのは動くが、ガッチャン(開錠動作)ガチャン(施錠動作) 一拍置いて ガッチャン(開錠動作)ガチャン(施錠動作) という動きをする。しかも気分屋で、きちんと動くときがたまにある。
この時点で、アクチュエータのDCモーターの寿命(磁力低下、ブラシ摩耗 他)と判断。いかにもお前パワー足りてなくて動いてないな、という推測。
インターネットでいろいろ調べると、だいたい非分解のギアボックスを殻割りするなどして、中のモーターを交換すれば直るっぽい。幸いにも、このアトレーは年式が古いのでOリング&ビスでギアボックスが組み立てされている。マジでお前、壊れるけど直せる を体現してやがるな…
交換すべきモーターは、先人たちが公開している通りFC-280という汎用モーターです。軸長とかD軸とかいろいろバリエーションがあるらしいが、まだ分解していないのでどれを買うべきか不明。汎用品として販売されているので、D軸加工などは各自行えということらしいが…アトレーに搭載されているタイプのアクチュエーターモーターはどのタイプなのか不明。L200系ミラ等の記事も、当然ながら見つからない。
やはり当時はインターネット流行っていなかったし、こういう整備記事を作ってインターネットに公開するという母数がそもそも少ないと思われる。
その上、あらゆるブログサービスや個人HPはサ終と共に消えてしまっているため、当時の情報にたどり着くのは困難になっているのだなと感じる。アトレークラブもサ終した今、インターネットにS130Vの情報を維持し続けているのはウチくらいのもんだろう。
話が逸れたが、モーターの中で劣化する部品は界磁用の永久磁石とブラシ部分なわけで、軸となっている電機子(回転子)が故障するということは個人的な観測範囲では稀です。
であれば、新品で買ってきたブラシ部分なり永久磁石部分(ベアリング・ブッシュ付き)を、車体に付いていたアクチュエーターモーターの軸(回転子)のみを新しいやつの中身と入れ替えてやれば、修理すべきところは完璧に交換できる、という見立てです。軸が摩耗しているなんてことはなかなかないですし、たぶんいけます。物によっては逆回転のモーターもあるとか聞きますし、そういう点でも電気子以外を移植する、というのはメリットが多いように感じます。構造としてはミニ四駆のモーターと一緒ですし。
修理編
ということで

ということで、こちらがアトレーの運転席ドアロックアクチュエータです。まあ素直にバラせばいいだけですね

ご開帳

そして取り外したブツがこちら

買ってきたモータと並べてみます


いやあの…純正の軸、太くね?
ということで、電気子のみ交換はできなくなりました。オイオイオイ。
じゃあブラシだけでも移植すっぺってことで、開けてみますと

まあ、摩耗はしてますわなと。

ウーン、ブラシ部分の金具の板金でどうにか移植できると思ったけど、そういうのも無理っぽい。
ほな、アレするしかないですわな。


ということで、ブラシ部分だけ適当に切り取ってはんだ付けで移植。0603metricくっつけることを思えば超☆簡単。間欠動作なので対して熱もかからんと思うので良いでしょう。
ということで組み込んでいざ動作確認…おや。12Vかけても力が出てこない。おかしい。
無負荷では回転するが、軸を掴むとどんどんパワーが落ちる。まさか回転子故障?と思って抵抗値測るも、異常なし。熱かかると短絡するみたいなモードかもしれないが、そんなに電流流してない(500mA以下)のにダメ。そもそも軸掴んだ瞬間に普通はガッツリ電流流れるはずだが、流れない。接点は磨いたし、無負荷エージングしてもダメ。じゃあコレは何だ…?
そこでふと、謎の部品があったことを思い出した。何故かブラシの金具が一体物ではなく、謎のスペーサーが挟まっていたこと。これ、スペーサーじゃなくてポリスイッチかサーモスタットなのでは…?それであれば経年劣化で抵抗体がおかしくなって高抵抗故障モードでモーターが回らなくなるという説明がつく。

そこでこの部品を外して短絡させてみることに。結果は…ビンゴ。400mAくらいしかMAXで流れない。その後100mA程度まで落ちていく。コレだ。
代わりに同じサイズに切り出したアルミの板を挿入して動作テストしたところ、完璧に動作した。そうだよコレコレ。
なおピークで3A~4Aくらい食う。
まあ、間欠動作だし…ドライブ素子もパルスなら耐えるっしょ…
気になる人は、ハーネス側に外付けPTCつけて対策しましょう。ワイは…思い出したらやります←
どうやら主に自動車部品のドアロックアクチュエータなどで使われる、PTC入りDCモーターが存在するらしい。確かに結構な負荷電流が流れるので、回転子保護としてPTCが一体だと嬉しいかもしれない。
しかしブラシの粉塵だとか熱衝撃などで劣化し、抵抗体が故障してモーターのパワーが低下する…ということがよくあるらしい。そらそうよ。
色々調べた結果、だいたいこのクラスのモーターでPTCは5A程度でトリップするものが内蔵されている例が多いっぽい。
PTC抜いたときの負荷電流もそれ以下くらいであることを考えると、信憑性のある数字だ。外付けPTCを入れる際には5Aを入れるようにしよう。
実際、机上試験で負荷を加え続けた場合、5A以上は確実に食いそうな挙動はしていた。ドライブユニットがアクチュエータードライブ状態で故障した場合(だいたいオープンモード故障なのでめったにないだろうが)、車両火災の危険があることを考えるとモーター側に保護回路がある方が望ましいと言える。
まあ、インターネットで交換事例挙げているユーツーバーどもの何割がそこまで考えて動画のネタにしてるんでしょうねwww(そもそもPTC入りモーターということに考えが至らんでしょうけど)
なお、モーターASSYで交換も考えましたが…スプライン入り且つギア側軸長さ18mmという条件を満たすFC230系モーターが存在しなさそう…あったら教えてほしい。どうやら100系ハイエースとかも同じようなユニットらしいが…
ところで、余談ですが。アクチュエーターつけたり外したりしてたらやらかしました

ここの部品、どうやらドアノブASSYでしか出てこないらしく…困りました。まあS110Pハイゼットとかのやつを買ってつけりゃいいんでしょうけど…それまでドアノブつけられないし、これをそのままつけようものなら、万一脱落した時に運転席外側からドアが開けられなくなり、スーパーダルイ事態になります。

ということで、作ったります。

強度異方性を考えると、印刷方向はこうなります。横向くんだよ90度

いや普通に一発で完璧にハマりました。こええよ。
ABSなので…夏は耐えられないかも…
PA-CFとかで作るべきですね。まあ、多少軟化したところでブッシュ&抜け止めとして動作すればいいだけであることを考えると、大丈夫でしょう。きっと。

縦向き印刷したやつもありますが、ちゃんと割れました。
データはコレ↓
まとめ
今回は右側の運転席・後席ドアのみ交換しました。ここの動作が一番怪しいかったので優先的にやりました。特に運転席にはアクチュエータ動作を確認するセンサーがあるので、最優先でした。
ブラシは結構ギリギリまで減ってましたが、実は交換するほどでもないんじゃね?ということで、運転席ドアはブラシ交換&PTC入り除去加工をしましたが、後席ドアはPTC除去のみ実施しました。数年後にどのような差が現れるか楽しみです。壊れても直したくないですが。
助手席側アクチュエータを直す機会があれば、モーターASSYで修理できるよう、今後は部品探しに励みたいと思います。多分あるはずなんや…
