さて、前回の点火時期計測のおかげで、なんとかピックアップ第一波からどの程度待ってから点火すればよいかというデータが取れました。コレさえあればあとは回転数を計算すればなんとでもなります
今回、制御用マイコンはESP32を使用します。内部はArduinoで動かします
実はPICマイコンだとPIC16F161Xファミリとかいう点火位相に関しての専用機能を備えたマイコンがあるんですが、ソレをしちゃうと一般公開した時気軽に作ってもらえなくなるので、色々と楽なArduinoベースで進めていきます。これは構想の段階から決定していました。
しかし、Arduinoでは周波数の問題で16Mhzだと性能がギリギリすぎるということで、オーバースペックですがESP32を搭載することになりました。ちょうど手持ちの評価ボードもありましたので、これで試作を進めていきます
で、いきなりですが回路図です
たぶんサイリスタ駆動部とかがの設計がガバい。BUT THIS CIRCUIT IS WORKING!!
とりあえずサイリスタのトリガ電流は定格より流したほうがしっかりスイッチできると言うことをTwitterでぽんずくんに聞きましたので、とりあえず流しまくるようにしました(彼は素子のパルス駆動モードの挙動にくわしい)。
しかし抵抗の発熱が大きい(計算では0.2W程度しか発熱しないはずで、シブイチ抵抗だとまあギリギリ収まる程度の発熱。安全率取るとちょっとこわい)ので1Wと大きめのの抵抗入れるようにしてます。たぶんここもうちょい高抵抗でもいい気はする(200くらい?)
あとフォトカプラの入力に関しては色々やった結果この定数に落ち着きました。前節でも述べましたが入力と並列に入ってる抵抗はかなり重要です。無いと高回転でバグります。あと入力電圧範囲がかなり変化するので、高回転域で電流流しすぎになってフォトカプラが劣化してしまう等します。こっちにバイパスさせてあげることでフォトカプラの過電流による劣化を程度防げます。(といってもパルス駆動な上データ転送するわけではないのでそこまで問題にはならないかも…?)
あと逆耐圧が低いので直列にSBDを入れてあげましょう。30Vくらいのでいいです。
付け加えて、プラグは必ず抵抗入りプラグを使用すること。抵抗なしだとノイズでマイコンが止まります。点火を強くしたければ高圧入力部で倍電圧整流するといいかも。素子の定格がちょっと厳しくなってきますが…
で、上記の回路ではないのですが、一度試作した1号機がこれ
調子に乗ってマステで色々書いてますが、結局コレはノイズとか無視して部品配置したせいでアイドリングすらしませんでした。回路修正しようにも結構詰めて作ったので厳しい。
なので、二号機を作りました。サイズはかなり広くなりますが色々と回路修正しやすいようにしてあります。実際、サイリスタの駆動回路まわりで誤動作しまくったので助かりました。
(当時はサイリスタを駆動するにもフォトカプラで絶縁してみたりと工夫していた。ノイズ対策で絶縁DCDCを使えば高圧部と完全に絶縁できると目論んでいた。結局必要なかったのだが…)
で、これでもかとベタ代わりの銅箔テープ
サイリスタの駆動回路についても、正論理で駆動すると思わぬタイミングでノイズによる点火が入ってしまうようで、うまく駆動できませんでした。で、負論理で駆動させてもしばらく謎の挙動に悩まされまくったんですが…最終的にはピックアップ入力周りの回路を見直して解決。
たんく@私は2度クランクシャフトを破壊しました@Tank_make
これが卍12000rpm卍までブチ回る完全オリジナルの自作CDIの音だ https://t.co/78wUGuEzFY2021/06/20 19:39:51
無事、高回転域に関しても動作を確認しました。
たんく@私は2度クランクシャフトを破壊しました@Tank_make
ほいMAP
これ下に行けば行くほど遅角だったわ https://t.co/xSD9r5UAdZ2021/06/22 12:23:37
YEC-CDIの実測データ(緑線)を元にした点火MAP(橙線)はこんな感じです。
あくまで電気的に見える部分でのMAPなので、フライホイールにタイミングライトあてて実測するとズレると思います。4EUはカバーを開けて点火時期を確認するってのができないので大変です。のぞき穴から確認するしかありません。見やすいように加工したサイドカバーと騒音を出しても良い環境があればいくらでも測れるんですが…
とりあえず安定稼働したということで、業者に基板を発注します。
2層基板で片面は全部ベタでビアも打ちまくりです。これなら素子の放熱もノイズ耐性もそれなりに期待できるでしょう。
コンデンサについてもある程度選べるように穴を2,3個に増やしています、実際、安定動作版ではコンデンサは2段重ねになっています
試作安定動作版として選んだケースはこの真中の箱になります。手前のデイトナのアナログCDIよりすこし大きくなりますね。
しかし、基板を見ていただくと分かる通り、ESP32の評価ボードがそのまま刺さる形になります。これがかなり基板面積を圧迫していますので…最終版ではさらに小さくなる予定ではあります
まあ評価ボードは評価ボードなりに、マイコンの下にフォトカプラ突っ込むという立体配置をしているのですが…
次回に続く