2020年11月1日、オタク佐渡旅行も控えていた頃。松坂でキャンプをした帰りのこと。
絶望的な音と共に不動 https://t.co/Knr1PolKGw2020/11/01 19:16:25
不動化。
焼き付きみたいな音してるけど、油は足りてるはずやぞ……? https://t.co/AA2EYmv0yH2020/11/01 19:18:28
結果としては抱きつきで不動化しましたが、そもそもの問題は燃調等ではありませんでした。
このとき大阪市内までギリギリ入ってたのでい旧友のオフローダーであるEくんに助けてもらいました。マジで助かりましたありがとうございます。
なぜか持ってたスネークカメラで故障の断定 https://t.co/AtkOuBokwI2020/11/01 19:29:09
この段階でほぼ故障内容がビッグエンドベアリングの粉砕で確定していましたが、前回OHした3000km前の段階ではフレが一切なく、ピストンリングでも粉砕したんだと信じてましたが
2st特有の このクランクのガタ サカリのついた猫のような 激しく 体の奥から湧きあがる絶望 抑え切れない涙 コンロッドベアリング━━ https://t.co/hlmtWrfQqv2020/11/02 19:44:44
自分の整備不足が原因ではないことがわかって安堵すると同時にどうにもならない故障で悔しいので、潤滑不良ではなかった証拠としてピストン側面を上げておく
いやまあ、予防整備でクランクシャフト交換しろってんなら確かに整備不足だけどな?コ… https://t.co/2y5H1E3Y4p2020/11/02 19:50:46
ビッグエンドベアリングの破片がピストンに食い込んで変形→ピストンと擦れて抱きつき→不動化という流れですね。
ということで腰下OH確定です。ほんとうにありがとうございます。
4EU、極端にこのクランクピンの耐久性がないらしく、とにかくめちゃくちゃ弱いです。
今回のOHでは中古のクランク使ってますが、これは5000kmでだめになりました。
私だけで2回、Twitterで2人同じ症状で死んでました。そのくせに2022年現在クランクピンだけ廃盤にしやがったのでヤマハ発動機本社の前で抗議の三点倒立をしようかなと思います(ブチギレ)
ちなみにクランクピンのベアリングが死んだ場合、まず妙な異音が発生します。その後徐々に異音が大きくなり、その後25km程度であればシリンダーは無傷のまま自走可能です。パワーが落ちることもありません。
25kmを超えますと破片が燃焼室に侵入して、ピストンやシリンダーはもとより知りンターヘッドを含む腰上部品を何もかもずたずたにして破壊します。50km走るまでに変形したピストンがシリンダー内壁に接触し抱きつき・圧縮不良を起こして故障するという故障モードを発生させます。これは2回とも同じ故障モードだったので間違いないでしょう。私が保証します。
さて、今回は予備クランクで組み上げておりますが、いくら予備の状態良好なクランクシャフトであろうとクランクは必ずリビルドを推奨します。これは絶対です。どれだけ点検して状態良好そうなクランクでも、それを使うとクランクベアリングよりもクランクピンのベアリングのほうが先に寿命を迎えるからです。無駄な出費をしなくなければ必ずリビルドをしましょう。
ちなみに東大阪にありますThe engine shopという名前そのまんまの内燃機屋さんに出しますと工賃7000円ポッキリ+送料で完璧な仕事をしてくれます。125cc以下の単気筒クランクならここ以外の選択肢はありません。
・インターネットに工賃を公開している
・取引方法が明確にわかりやすい
・工賃の書き方が”¥10000~”とかいう書き方じゃなくて”¥10000”でポッキリ価格にしていることから内燃機技術に対する自身を感じられる上に安心してお財布の紐を緩められる。また気持ちよく仕事を任せられる。
・安い
以上のことを満たす内燃機屋、ここ以上のお店があれば逆に教えてほしいですね。私はリピートします
お店のURL:http://www.enginesshop.com/
話をOHの話に戻しますと、TZRのエンジンはまるごと持っててすでに分解清掃済みでバラバラのまま放置していました。なので、ベアリングとオイルシール、その他足りない消耗品を買えばすぐにでも組める状態でしたので、部品を手配して組み上げました。
の前に、全塗装します。これまた大阪にお住まいの方であれば東大阪に行けばサンドブラストが時間貸しで使えるらしい。
東大阪の時間貸しガレージMACHICOCOさんを利用しました。
市内にお住まいの方、バイクがぶっ壊れても大丈夫。市営地下鉄中央線に乗るという苦行さえすれば駅から徒歩10分以内。一応バスを使えば目の前まで行ける。
3人ほどで営業されているそうで、2018年からやってる割にはあんまり知られてないないそうです。完全予約制ですが、サンドブラストが使える環境はなかなかないんじゃないでしょうか?大阪でもっと安く使えるところがあるなら教えて下さい。
使った感想ですが、原付の水冷エンジンの腰下を完全にブラストで下地を出すには4時間位かかります。というのも、4時間のうち半分以上はコンプレッサーの充填待ち。それもそのはず、100Vの家庭用コンプレッサーでサブタンクなしならそうなりますよね。時間貸しなので、充填中は無駄金食ってる感じがしてちょっとなぁ…並行して何らかの作業ができれば良いんですが。
しかし!多少設備が貧弱であろうとあるのと無いのとでは雲泥の差。ここは金を払ってありがたく使わせてもらいましょう。あ、あとお茶も出してくれました。
これくらいきれいになります。
その他設備はこんな感じ。旋盤とかだと流石に作るレベルによっては買ったほうがコスパいいと思いますが、サンドブラストは維持管理とかを丸投げできると考えれば十分破格でしょう。
いい感じだったのですが、クラッチカバーだけどうしても気泡が発生します。きれそう
後日やり直してマシにはなりましたが、微妙な感じでした。まあ仕方ない。
つや消しブラックなので結果としてあんまり目立たなくなったのでヨシ!
ミッションのベアリング。旧型は金属の’シールが入ってるが、今はゴムのシールが入っています。
でもここ油没箇所なんですよね。グリスも塗ってあるし、シールもギヤオイルに浸かるんだからいらんやろ。と突っ込みたくなりますが、たぶんクラッチ外したときとかにゴミが噛むのを防ぐ考えがあるのかも?
グリスは流さなくてもいいですが、何故かクランクベアリングにまでグリスが塗り込んである。しかも片方だけ。それだけは脱脂して2stオイルを注油してから使いましょう。ほかはそのまま圧入すればおkです。
ここのメカニカルシールは外すのが大変ですが頑張りましょう。打ち込みも結構難しいです。
外す際は大きめのマイナスドライバーと当て木を使います。当て木を平らなところに置いて、マイナスドライバーでシール穴をこじれば……気合い入れると外れます。
シリンダーも無駄に焼付塗装しました。でもこれそこまで熱がかからない場所なので普通のつや消し黒でいいと思います。とはいえ塗膜強度がダンチなので可能であれば焼付塗装のほうがいいのかも。
さて、クランクシャフトのインストールですが、整備手順書に従って純正工具でベアリングにシャフトを引き入れると、アウターレースを固定してインナーレースにシャフトを引っ張ってしまうので、ベアリングを痛めてしまいます(しかしそのように作業手順が指定されているので、そこまで問題にならないということか?)
ほんとはパイプとか使ってインナーレースに当てられる専用ジグ作るんですが、、わたしはこうしました
インナーレースにプライマリドライブギアを挟んでからプーラーで引っ張ります。これでインナーレースに負担をかけずに引けます。しかし、ギアが痛む可能性が大です。私はすでに傷んだ予備のギアを使用したので無問題です。
予備部品はないけど痛むのが気になる人はギアとSSTの間に厚紙でも挟んどくと良い
余談ですが、このプライマリドリブンギアとバランサーギア(プライマリ・セカンダリ)にはCとかDとか刻印してあります。3つのギアすべて同じ刻印の組み合わせを使わないと正しい組付けがあ行えません。これ整備手順書に書いてないしパーツリストにも記載がないので気をつけてください。
……これ、パーツリストで刻印指定できないけど万が一ギアが一つだけ壊れたりしたらどう済んだよ。今は製廃部品だから問題ないだろうけど。
クランクをインストールします。
工具は中華の汎用品を使いましたが、まあ多少の工夫で特に何も事故ること無くクランクのインストールができました。クランクと一緒に外側のパーツが一緒に回るので、それを抑えながら回すのがちょっとバイスとかないと難しいかも。私は溝にタイヤレバー突っ込んで固定しながら回しました。
サクサク組みます。クランクシャフトは限界の手前まで引いてOKです。
完璧。あとは漏れなきゃいいんだが…… https://t.co/6Wfycm9PML2020/11/14 21:27:07
こんな感じにゆるゆる回ればOKです。
あ、ちなみになんですけど
スタータークラッチの部品が、乗ってるエンジンのほうが状態良かったので部品取りしたんですが、ここのネジはマジでショックドライバーがあっても舐めます。緩んでも硬さが変わりません。超強力ネジロック入ってます。
素直にエキストラクター使いましょう。最初から使えばいいまであります。
ちなみにエキストラクター使う前にできれば軽く温めて貫通ドライバーで何回かシバいて固着を多少なりとも解除させてからドリルで揉んでエキストラクターを使うようにしましょう。さもないと皿ネジの頭だけもげてどうしようもなくなります。
組んだらあとは載せるだけ~~~
載せるだけ!!!!(エンジンマウントが違うことに気が付き加工ポン付け)
はい、実働まで20人日程度。あほくさ
ちなみにこの後カウンターシャフトのオイルシールの組付けミスでオイルが漏れてます。や め た ら こ の 趣 味
すべての敗因はオイルシールの打ち込み量を間違えていたことです。これサービスマニュアル見ても書いてない割に結構シビアな条件である上に分解したときのこと覚えてないとダメなのが私にとってはクソだったので、ここに記しておきます。いや、そもそも整備のセンスがない人がSMだけで整備することが間違いなんですけど……
ウォーターポンプオイルシール ツライチでおk
外すときに変形したけど、ドライブシャフトオイルシールは適当にほぼツラよりちょい下でおk
持病でよく死ぬやつ、奥まで入れろ
これシビア。クランクシャフトのジェネレータ側。テーパーの下の角より下2ミリまで打ち込む。
同じくクラッチ側。抜けどめの爪の位置まで打ち込むと一次圧縮が下がります。誤差レベルだけど。
こんな感じです。参考までにどうぞ。
おまけ
オイルシールの打ち込みはともかく、ベアリングはもとのベアリングを当てて圧入するか、ベアリング自体を分解すればより確実にアウター・インナーレースのみに力を加えて圧入できるので、ボールに負担をかけずに圧入できます。よくある小ネタですね。