ついにこの時が来てしまった……
クランクピンが廃盤になってもTKRJがあるが、クランクベアリングかぁ……TZM50のレース関係で使用されているNTNのベアリングというのも一つの手ではあるが、たぶんアレはダメなんですよね。
というのも、今回廃盤になったベアリングは内輪が某社がメーカーを札束で殴って作らせた特別仕様らしく、見ればわかるが明らかに形状が違う。調べてみると内輪に熱処理がされてあるらしい。
ということで、きちんとした代替品を探すことにする。条件としては次の通りだ。
・純正同等以上の性能
・純正流用品で、今後絶版の可能性が低いこと
・流用元は同じようなエンジンの同じような部品
まあ、ここまでくると当てはまるものは現行YZ85くらいのものである。ちょっと部品を取り寄せてみよう。
そもそも4EUエンジン自体、YZ85のそれから基本設計を譲り受けているわけで、ポン付けの可能性は高い
ということで早速比較していこう。下から順にRZ50純正、代替品、代替品の箱で、左の列が右側クランクケース(今回絶版になった方、ジェネレータ側)、←側が右側クランクケース(クラッチ側)だ。
RZ50純正部品番号 | YZ85(2023)流用 純正代替品 | |
左側(ジェネレータ側) クランクベアリング | 93306-20475 ※2023/03/14時点で廃盤 | 93306-20438 ※代替品番:20468 |
右側(クラッチ側) クランクベアリング | 93306-30405 | 93306-30421 |
ノギスで測った程度だが、ひとまず寸法は同じ。YZ85のクランクに使っているのだから当然。RZ50と同じような混合気+オイル雰囲気下の高負荷で使用するのだから仕様として問題になることはないと思われる。むしろYZ85のほうがシビアコンディションなので、確実に品質が担保されている強化クランクベアリングと言える。
ひとまず外観から詳細を見ていこう
今回絶版になった左側(ジェネレータ側)ベアリング。やはり特別仕様らしい。絶版になるのも頷ける。
次に純正流用品
これがYZ85(2023)で使用されているベアリング。ベアリングも刻印から察するに間違いなく熱処理されているタイプだろう。
熱処理されているとどう嬉しいかというと、高負荷時に熱がかかったときにあまり膨張しないので、ベアリングの内部隙間の変化が少なくて済む。
機械工学は専門ではないので分からないが、ここにC4隙間のベアリングを使わなくても熱処理すればC3相当で済むので冷間時のクリアランスと暖気時のクリアランスの変化が少ないのでうれしい、のではないか。
こちら側だけ純正で特別仕様な理由としては、たぶんフライホイールとスタータークラッチの機構があるため、プライマリギアしか無いクラッチ側より軸曲がり・フライホイールの順量バランスなどで軸受にかかる負荷が大きいからではないかと考えている。現に、クラッチ側は特別仕様ではない普通の高負荷・高速部分用のベアリングだ。
次に、右側(クラッチ側)の純正ベアリング
何故か刻印側を取り忘れたが……特にSHなどの特別な刻印はなし。やはり普通のベアリングらしい。
明らかな低走行(推定5000キロ以下 RA01J初期ロット)エンジンから取り外したが、長期放置で外輪が錆びている。このようなことからも、長期放置した2サイクルエンジンはOHすることが前提で考えたほうが部品を壊さずに済みますので、何卒……
ではつぎに代替品
YZ85(2023)のベアリングは、内輪にSH刻印ありで明らかに熱処理品であることがわかる。
以上のことから、YZ85(2023)のベアリングはおそらくRZ50/TZR50R/TZM50Rに使用可能であろうと思われます。現行YZ85の部品ということもあり今後しばらく絶版にならなさそうなのが嬉しいですね
あとはTKRJのコンロッドが絶版になるまではなんとか維持できるのではないでしょうか。(海外生産のDT50が維持される限りは生産されるでしょうし、クランクシャフトもASSYで取り寄せたら普通に使えるものはあります)
TKRJのコンロッドキットが絶版になっても、クランクピンだけなんとかすればいいので、それはそれでリード90とかのが使えるらしいので、あと10年は余裕で、20年はRZ50に乗り続けることができるだろうと思います