実質CB125Tという不名誉な称号を持つXS250(17E)
フォロワーから無料で譲り受けたは良いが、ガソリンタンクが完全に腐敗しており、外装修理をする必要があった。
その他に修理するべき点は
・エンジン内部のフラッシング
・タイヤ交換・チェーン交換
・フロントブレーキ修理
・バッテリー交換
・書類なし
とまあこれだけ書けばかなり簡単な作業に見えるが、そうは問屋が卸さない。今回の個体は簡単に起こせると思ったら、まあ簡単だったけどかなりの時間がかかっちゃったという内容だ
まずは腐敗したガソリンタンクの修理。今回は純正色で復元したいので、頑張ってデカールも復元する。
復元する前にデカールの貼り付け位置を記録しておく…が、正直言ってこれは不要だった。
カッターで切れ込みを入れながら剥がしていく
いい感じの魚拓ならぬデカール拓、いやもはや拓というかそのものを回収したら
A3に収まらなかったので
ぶった切って置いた。これでコンビニでスキャンしてくる。定規は必須。縮尺がわからなくなるので。
剥がす作業があまりにも面倒すぎるので、サイドカバーなどは薄いペーパーでトレースして対応。というのも、1枚だけスキャンして色さえ取り込めたらあとは形だけ取り込めたら良いのだ
そしたら残りもこんな感じで分割取り込み
いいかんじにして
あとはこう、いいかんじにする。塗り足しを作らないとシールやさんは受けてくれないので注意。でも結果だけ言えば、普通のシール屋に耐候性印刷をお願いしてもガソリンでインクが溶けます。クリア塗ってもインクがシンナーで溶けるのでかなり難しいです。ラミネートすれば多少は変わるかも…?
このデカール、色調整はできてない…というか普通の印刷屋にこの純正色は出せません。いろいろ試しましたがどこもカスみたいな色になるので、こういうのはもう本職のバイク用デカール復元できるところに出したほうが良いと思います。私は今回のレストアでそう学びました。まあ自分でやれば印刷代1万円もしないんだけどね…
ガソリンタンクは穴が空いていたので、中古を買いました。ベコベコなので修正します。
うーん、わかんねえな
はんだごてでワンシャーを固定して引っ張るデントリペアである程度修正して、最後はパテで決めます
この年代のヤマハのタンクは全部ゴミ。錆びまくります
蓋を作って錆取りしまくりました。
当然こういうところもネジが折れるので
こういうことばかり上手くなります
錆びて朽ちたステーの下も当然錆びてるのでスポットをいい感じに飛ばそうとしましたが、穴があきました。まあハンダとシーラーで埋めるので良いか…
ステーはこっちから部品取りします
ありがたいことに、会社の同期のガレージのサンドブラストを借りられることになったので、塗装を剥がします
当然下地は終わってますし、穴も空いてます。
ことXS250に関してはここがウィークポイントです。ハンダで埋めようとしていますがサビがひどすぎ、ます。ブラストしてサビ落とししてからでないと半田が乗らなさそうです。
このへんで、「状態のマシなタンクを買ったはずなのになぜこんな苦行をしているのだろう…」と思いましたが、マシな部品はおろかそもそも部品自体一切出ないので仕方ありません。そもそもXS250なんてゴミに乗るのが間違いですが、宗教上の理由でホンダ車を買えないけどCBTに乗りたいので仕方ありません。
ブラストして翌日に塗装するのを忘れたので浮きサビが出ています。ここにフラックスを塗りたくり真鍮板を充ててバーナーで加熱してハンダを流して穴をだいたい埋めてしまいます。
こっちもハンダで固定したり、穴を確認したり…
防錆のためすでにプラサフを塗り始めています
そしてひらすらにパテ作業です。こだわってしまったのでパテ修正に3ヶ月位かかりました。
さらにガソリンタンクのピンホールを埋めるためにPOR-15タンクシーラーを2つぶち込みました。もう戻れねぇんだよ…
パテ作業中も硬化待ち時間で修理を勧めます。シートの破れを補修します。
張り替えても良いのですが、この見た目を維持したいので補修にとどめます。
前オーナは下地に布を入れてスポンジを保護し、テグスで縫ってました。縫うにしてももうちょっとうまくやれよ…と思いました。これ表皮が傷んだせいで後々…
全部剥がして縫い直しです。どうしても伸びた表皮が余ったのでいい感じに処理しておきました
裏側の様子 糸はレザークラフト用のものを使用。蝋引きされてますがまあここではあまり意味はありません。
こんな感じに修理。そろそろ自分が電気屋であることを忘れてきた
そういえばエンブレムもだめになってたので塗装しなければならない。本来は黒下地に文字部分はたぶんスパッタとかで樹脂メッキしたような感じ(マスキング跡が雑に残っていたので間違いないだろう)だったが、メッキは難しいので塗装でなんとかする。
こんな感じに。ヤマハロゴの方はゴールドで良ければXJ用として新品が出るはず。ネジ止め+両面テープタイプ。
なお、この時代のヤマハはロゴが日本楽器製造と共通になっている。ロゴが分かれる前だろうか?1988年のTDR250ではすでにヤマハ発動機ロゴとなっていた気がするので、1982年から数年の間にブランドをきっちり分けたのだろう。
現行のヤマハ発動機ロゴのもの、かつネジ止めではなく両面テープのみで固定するもので良ければ類似品が4HM-24161-00で購入可能だ。きちんとメッキが光るのでそちらのほうがお好みの場合は是非。
なお、ラッカーだけではガソリンで溶けるので外装塗装時にウレタンクリアで処理する。
そしてフォロワーの家で塗装。塗装代として使っているフレームはXS250のもので、書なしフレームのものだ。結果だけ言えば、今回は書類付きフレームを買って起こした。そう、オリジナルのフレームの書類は起きなかったのだ。
普通に書類がないだけ、つまりナンバーさえ返納されていれば、軽二輪の場合は普通に陸運で中古新規で登録できる。しかしこれはナンバーが返納されていなかったのだ…
出処ははっきりしていて、さいたまのスクラップヤードでフォロワーが購入し、そのまま私の元へ流れてきたので当然返納済みかと思ったが…返納されていなかったらしい。
車体番号がすでに陸運でナンバー発行済車両として登録されているため、基本的にはどんな手を使っても登録は不可能である。大阪の業者で登録可能を謳うところは存在するが、価格は5万円~と書いてある。ヤフオクを見た。書付きフレームで5万円。まあ、買いますよね…
ということで余った書なしフレームは塗装台として活躍しました。5万円の塗装台!!!!!
フレーム載せ替えにあたり、車体の色んなところを見る羽目になったのですがかなり状態のいいバイクであったことは間違いなさそうで、砂まみれだったのはおそらく納屋保管だったから。それ故塗装面とかゴム部品とかベアリングの劣化は奇跡とも言えるほどなかったのに、書類がなくてガソリンタンクが錆びたがゆえにこの苦行…タダほど高いものはないとはよく言ったもので…
しかしまあその甲斐あっていいかんじになりました。
フロントフェンダーは当時物のまま塗装せず、ガソリンタンクから後ろは塗装してます。
色は浜松のバイクペイント.comというところから、色名:スペイスブルーと、ウレタンクリアを購入しました。フロントフェンダーは場所が離れているので色の差がわかりにくいのはありますが、ほぼ色が合ってるのには驚きです。なんなら車体側の塗装は純正でソリッドなのに対しこちらは3コートクリアなので上等ですよ、ワハハw
はい。やらかしました。
ついこの間後十字靭帯を部分断裂という大怪我をやらかしまして、足に固定装具をつけてバイクに乗っていたのですが…傷つけないように気をつけて乗っていたのに、装具を外すための診察に行く往路で塗装にぶつけて抉り取ってしまいました…普通に凹む
やってしまったものは仕方ない。塗料はまだまだ余っているので、ウレタン塗料を小皿に作り、毎日少しづつタッチアップで盛っていきます。ある程度盛れたらカッターとペーパーで均し、足りない部分を盛り、最終的に垂れたクリアを処理する方法でペーパーをかけ、研磨すると…
まあぱっと見はわからないくらいにはなりました。これでヨシ!
ということで、完全に直ったのでツーリングに出かけて性能試験です。
あまりにもキャブの付け外しが困難だったため、エアクリボックスを加工してパワフィル仕様となっていますが下道ではリッター25を叩き出しました。セッティングはSJを純正40→42.5、MJは純正125?127.5?→130、ジェットニードルはMAX下げとしています。パワフィルはキジマの54mmを使用。あまり小さいものを使用すると吸気効率が悪くなり高回転が伸びなくなります。このあたりはセッティングで結構ハマりました。
原チャキッズだったフォロワーと高速ツーリング たのしいね
あいつは現行車持ってるのに、俺は、俺は……
20Lタンクで実質的に使えるのは18L程度、高速100km巡航7000rpmでだいたいリッター16に落ちました。下道なら実用航続距離が300kmを超えますが、高速道路は80km巡航にするかフロントスプロケットを交換して巡航回転数をあと500下げるだけでかなり燃費が良くなると思います。100km巡航ではリザーブに入ったのが230km程度、270km走行で16L入りました。20Lタンクは詐欺だろ
なお、帰り道は大雨でしたがパワフィルでもきちんと走れました。たぶんエアクリボックスを撤去せずに残してあるが故に半分くらいフィルターを隠せてるのが大きいかと
長距離ツーリングをしたら弱っていたところを縫い直した表皮がだめになっていました。もうこうなるとどうしようもないので、パッチワークをしました。
ぱっと見わからないのでコレで良いでしょう。
といったところで、XS250のレストアは終了です。マシンの総評としては下道は低回転で振動も少なく燃費もよく、ギアを2~3段落として7000回転以上まで回せば、乾燥重量160kgに30馬力というヘビーでローパワーなもっさりやさしい加速をします。低速トルクのあるCB125Tです。
普通にダメな点は前後の足回りがあまりにもゴミなので段差を走ると乗り心地がカスになります。これでも一応減衰が効いてるマシな純正サスを買って入れてあるし、フロントフォークもシールとオイルは交換済みなんですがね…
実質CBTな特性をもつ一方、ビジバイではないので積載性が低いです。純正リアキャリアを買っても強度はそんなにないので重量物の運搬は厳しいでしょう、また、右側に荷掛けフックの類がありません。このあたりはリアキャリアをワンオフ依頼して解決しても良いかもしれません。それを差し引いてもツーリングマシンとしてはかなり優秀であることは間違いないでしょう。荷物を載せたいのならバッグに入れて縛ればよろしい
400ccエンジンベースのためオイル量が交換で2.2L、エンジンOH時で2.9Lととんでもない量を飲み込むため、空冷エンジンとしてはオイルコンディションがシビアになりにくく寿命は長めのようで、真夏日に渋滞にはまってもフィーリングが極端に低下することはありませんでした(さすがにピークパワーでは熱ダレしましたが…その時は人間もバテてます)
少なくとも100km巡航できて最高速120km程度で新東名も普通に走れる、かつ航続距離が最低でも250km以上という時点で、帰省マシンは車が必要な用事でもない限りはこれで帰省することになりそうです。長距離ツーリングもコレ一択ですね。なんとTDR250の最低2.5倍の航続距離に、最大2.5倍の燃費!!!神マシンか?
頼もしい実用戦力になりそうです